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いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

第4章 森林破壊



第4章 森林破壊・・・・森林が消えていく




■緑の惑星が危ない



地球は「水の惑星」と言われていますが、同時に「緑の惑星」
でもあります。

アマゾン、東南アジア、シベリアなどの森林地帯は豊富な
生態系を育み続けてきました。

しかし、その森林が急激に減少しています。

ランドサットからの衛星写真を見ても、昔は緑でおおわれて
いたところが赤茶けてきていることがはっきり分かります。

フィリピンや中国では、台風や大雨の度に大規模な洪水に
襲われていますが、これは上流の森林地帯が破壊された
ために、保水力がなくなったのが大きな要因です。

また、アマゾンや東南アジアなど至るところで山火事が発生
しています。

これも森林伐採によって、付近一帯が乾燥化したために
起こっているのです。

このままでは、「緑の惑星」が危機にさらされ、地球生態系
が崩壊することは避けられません。

一刻も早く、森林の破壊を食い止めなければなりません。

そのためには、地球の生態系にとって「森林の働き」がなぜ
重要か、また森林破壊が何をもたらすかを知る必要があり
ます。


では、まず「森林の働き」について考えることにしましょう。




■森林の働き



1.生態系を育む



森林の中では微生物、昆虫、鳥、小動物、大型動物が食物連鎖
の中で共生しています。

これらの生命は森林がなければ生きていけません。

また、森林からの栄養が川を伝って海に流れ込み、沿岸地域の
魚介類を育てます。海の生物は森林が育てているとも言えるの
です。

このように森林は、地球全体の生態系を育むための重要な役割
を担っています。



2.土をつくる



落ち葉や倒れた木を微生物が分解することで、栄養分豊かな
腐葉土という土ができます。

1立方センチ、つまり角砂糖1個くらいの土の中には微生物、
昆虫、小さなミミズなど10億くらいのたくさんの生命が存在
しています。この意味で土は生きているといえるのです。
  


3.土を保つ



樹木の根は土をしっかりつかんで放しません。

森林には多数の樹木が集まっていて、その地域全体の土が雨
などで流出するのを防いでいます。



4.水を保つ



樹木は常に根、幹、葉に水を蓄えるので、降った雨はすぐに
下流に流れ出しません。そのために、森林地帯は「緑のダム」
と呼ばれています。

もし森林がなければ、降った雨があっという間に海に流れて
しまい、飲料水など淡水資源が確保できなくなります。

また、森林破壊が大規模になれば、葉から蒸発する水分や雨の
核となる微粒子が不足します。

森林がなくなれば、雨そのものが降りにくくなるのです。



5.空気を浄化する



樹木は二酸化炭素を吸って酸素を出します。

つまり光合成、言い換えると炭酸同化作用を通じて呼吸をして
いるわけです。

これは、森林がなくなると二酸化炭素が増えて、酸素が減ると
いうことを意味します。

二酸化炭素が増えると地球温暖化につながります。

また、木の葉は大気中から二酸化炭素を吸うとき、同時に空気
中の窒素酸化物や硫黄酸化物などを吸って周囲の環境を浄化
してくれます。

特に広葉樹では、広い葉の表面にある気孔に窒素酸化物、硫黄
酸化物などの有害物質を取り込みます。

工業地帯や自動車道路の周囲の森林は、大気汚染を浄化して
くれるのです。


このほかにも、森林には

「人間の心を癒す」

「木造建築の材料になる」

という人間にとって便利な働きもあります。


森林が破壊されると、これらの働きを失うことになるのです。




◆メモ(少し専門的になります)



森林は二酸化炭素の吸収源であり、酸素供給源であると言わ
れていますが、これは樹木が不死であり、常に成長し統け、
落葉がまったくない場合にのみ成り立つことなのです。

樹木は光合成を行うことにより二酸化炭素を吸収し、酸素を
発生させるというのは、教科書的には正解です。

しかし実際には、樹木は落葉するし、枯死もします。

また地震、台風などで倒壊もします。さらに乾燥した強風に
よって自然発火し、大規模な森林火災を引き起こすことも
あります。

これらが二酸化炭素の大量発生源になることは明らかです。


特に、落葉や倒木は微生物のはたらきにより腐敗し、二酸化
炭素を発生させることに注目してください。

このように大きく見ると、森林地帯における酸素と二酸化炭素
の物質収支は釣り合っているといえるのです。


しかし最近は、人為的な大量伐採や無秩序な焼き畑などで、
二酸化炭素の増加量が吸収量よりも遙かに大きくなってしまって
いるのです。



■森林の種類



◆人工林と原生林



森林には大きく分けて、人工林と原生林(自然林、天然林)の
2種類があります。

同じ林という文字がついていても、この2つはまったく異なり
ます。


人工林は人間がつくった森林で、原生林は人間が手を加えて
いない森林と言えます。

ただし熱帯林の中には、何千年も樹木と共生してきた先住民族
といわれる人たちが生活していて、この人たちは少しですが
原生林に手を加えています。

とは言っても、彼らはその地域一帯の食物連鎖の中に入ってい
て、調和した生活を送っています。

したがって、彼らが手を加えた森林も原生林と考えていいと
思います。



◆人工林の特徴



1.同じ種類の木ばかり



一般に、人工林には1ヘクタール当たり1~2種類の木しか
植えられていません。

しかもマツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹がほとんどです。

しかし、同じ種類の木ばかりだと、いったん病虫害が発生する
と、あっという間に被害が広がり、その一帯が全滅してしまい
ます。

また、人工林は落葉するものが少なく、土が非常にやせて
います。

このため生物がほとんど棲みつかず、生態系を育む力が極めて
弱いのです。



2.光合成の能力と空気浄化の力が弱い



針葉樹は葉の面積が小さいので、二酸化炭素の吸収、酸素の
発生、汚染物質の浄化能力が広葉樹と比べてかなり劣ります。

また根や葉に蓄える水量も少ないので、保水能力が小さいと
言えます。



3.人手をかけないと育たない



人工林は適当な時期に間伐しないと、隣接する木と木の間で
栄養を奪い合うためうまく育ちません。

また、成長するにつれて一帯の木の葉が重なり合い、密集する
ようになります。

このため降った雨水が葉伝いに流れ、地面に届かなくなって
しまいます。

さらに地面に太陽の光が当たらなくなり、下草も生えません。

その結果、土が乾燥し、木が弱ってしまうのです。


このような植林地帯を「緑のダム」に対して「緑の砂漠」と
呼びます。

日本の多くの人工林は、地面は砂地でつるつる滑るし、ところ
によっては砂も流されてしまって、岩肌がむき出しになって
います。

こうなると、根が岩にへばりつく感じになり、土をつかむこと
ができなくなります。

そこに大雨が降ると、土砂崩れが発生して、一帯の森林が押し
流されてしまうのです。




◆原生林の特徴



1.多種類の樹木と多くの生物が共生している



原生林には、同じ種類の木は1ヘクタールに数本しか存在
しません。

しかもその数本は離ればなれになっているので、病虫害が
発生しても伝染しにくいのです。


また、原生林にはシダ類や草花などが共生して、密集して
います。

木ノ実や果実なども豊富にあり、多くの昆虫、鳥、動物が
共生し、生物の声、羽音、ざわめきが聞こえ、大変にぎやか
です。


このように原生林は、たくさんの樹木の周りに強固な生態系
を形づくっているのです。



2.豊かな土を作り、保水能力にもすぐれる



原生林には落葉樹が多く動物も多いので、落ち葉や動物の
フンや死体が微生物によって分解されます。

その結果、栄養分豊かな土が作られ、それが木の成長のため
に使われるという循環によって生態系が維持されるのです。

また、豊かな土や葉が巨大なダムの働きをするため、保水力
にもすぐれています。



3.光合成の能力と空気浄化の力が強い



原生林には葉の面積が大きな広葉樹が多いので、二酸化炭素
の吸収力、酸素の供給力つまり光合成の力が強いのは当然
です。

また汚染物質の浄化能力が、人工林と比べて遙かにすぐれて
います。



4.人がむやみに介入するとダメになる



原生林は人工林の反対だと考えると、「人手をかけるとダメ
になる」ということになります。

しかし、先住民族のように人手をかけてもダメにならない
こともあります。

彼らは、自分たちも生態系そのものであり、生態系がダメに
なると自分たちもダメになることを知っているからです。


この原生林に人がむやみに介入し、食物連鎖を断ち切ると
生態系全体が崩壊してしまいます。

こうなると、二度ともとの姿に戻すことはできません。



ここで、

「原生林は人手をかけるとダメになる」

「人工林は人手をかけないとダメになる」

という違いは極めて重要です。


原生林の伐採後に人工林を作った場合、

「少なくとも数十年間は、必ず人手をかけなければならない」

のです。


自然の恩恵をいただくということは、相応の(大きな)責任が
発生することを肝に銘じる必要があります。




■森林破壊の実態とその影響



◆森林破壊の実態



これまで、人工林と原生林を比較してきましたが、特に原生林
の破壊が深刻な事態を引き起こすことは明らかだと思います。

現実問題として、その原生林がどんどん失われているのです。 

乱開発や過剰伐採のために、すでに世界の原生林の80%近く
が失われました。

緑豊かに見えるヨーロッパでは原生林はすでに全滅していて、
現存するのは全部人工林なのです。

アメリカでも原生林は15パーセントしか残っていません。

世界では、この20年間で日本の面積の10倍もの森林が失わ
れ、そのうち半分が砂漠化しました。

特に、中央アメリカ、東南アジア、アフリカ、アマゾンなどで
原生林が大規模に破壊されています。

例えばアマゾンでは、1978年から1996年までにフランス
1国分の面積に匹敵する5千万ヘクタールの熱帯林が消失しました。

これはアマゾンの熱帯雨林の12.5%に相当します。

また地球全体(ほとんど熱帯)では、1990~2000年の間に
1億6千万ヘクタールのが姿を消しました。



現在、1年間に日本の3分の1から半分の面積に相当する森林が、
地球上から消えています。

これは成長量の10倍の速さで失われていることに相当します。


髪の毛でも伸びる量の10倍ずつ抜いていくと、どうなるかは
明らかです。

このままでは、100年以内に世界の原生林が全滅する恐れが
あります。

しかも、温暖化や酸性雨で木が枯れたり、木材の消費量が増える
と50年とか30年で全滅してしまうかも知れません。




◆森林伐採に伴う表土の流出



この20年で、世界でインド全土の耕地に相当する5000億
トンもの表土が流失してしまいました。

特に熱帯地方では、もともと肥えた土というのは10センチ
くらいの厚みしかありません。

非常に暑いので、落葉したり、動物が死んだりしても、すぐに
腐って分解してしまい、土ができるひまがないのです。

何千年もかかって、やっと10センチくらいの土ができますが、
森林伐採後の大雨で、いとも簡単に流失してしまうのです。




◆森林破壊の影響



原生林がなくなると、

「豊かな土が流される」、

「水を保つ力がなくなって水が枯渇する」、

「二酸化炭素を吸収できなくなって地球温暖化が進む」

・・・・。

こんなことになれば、確かに人間にとって大変な時代になるで
しょう。

しかし、地球全体の生命維持システムが崩れるわけですから、
人間だけではなく、生物種の大量絶滅にもつながっていくで
しょう。


また、表土が流出するというのは、よく肥えた土がなくなって
しまって、農業ができなるということを意味します。

近い将来、確実に農業生産にも影響し、人口爆発のことを考え
ると、深刻な食糧危機に見舞われる可能性があります。




■森林破壊の原因



◆先進国による商業伐採と乱開発



1960年代以降、特に先進国の人たちによって建築用資材として、
あるいは紙を作るための商業伐採が行われてきました。

また、工場建設・農地化・リゾート開発・換金作物栽培のための
乱開発などによって、森林破壊がますます加速しています。




◆無計画に行われる焼畑農業



森林破壊のもうひとつの大きな原因として、「焼畑農業」があげ
られます。

人類は森に住み着いて以来、何千年に渡って伝統的な「焼畑農業」
を行ってきました。

そこでは、見事なまでに森林の再生サイクルを知り尽くした方法
をとっていました。

それは、「ある一定の区画を焼いて農地にして数年耕作した後、
今度はとなりの区画を焼いて農地とし、そして数年後にまたその
隣りを焼き・・・・元に戻ってきたときには見事に森林は再生している」
というような計画的な焼畑農業です。


ところが、いま森林を破壊し続けている焼畑は、まったく無計画
に行われているのです。

南米や東南アジアでは、数パーセントの大地主が大部分の土地
を独占していて、貧しい人々を森林に追いやっています。

追いやられた人々は、生きていくために伝統的な「焼畑農業」
の知識なしに、次々に森林を焼き払っていくことになります。

つまり、問題は「無計画な」焼畑農業にあるのです。




◆牧草地にするための先進国による焼畑



無計画な焼畑は、先進国によっても行われてきました。

たとえば、ハンバーガー用の肉を作るために、アマゾンや中央
アメリカの熱帯林を大規模に焼き払って、牛の放牧地に変えて
しまいました。

ただし、熱帯林を放牧地に変えたとしても、10年もたたない
うちに土がやせたり、流出したりして、牛を育てることができ
なくなります。

そのために、安い肉を確保し続けようと、次々に熱帯林を焼き
払うことになるのです。


ここでよく「木を燃やすと二酸化炭素が出るが、これは元々
自然界にあった二酸化炭素を吸収したものだから収支トントン。
石油などを燃やすのと一緒にするのはおかしい」という反論が
出てきます。

確かに、木だけの二酸化炭素の収支を見るとその通りです。

しかし、すでに大気中の二酸化炭素は、温暖化を引き起こす
までに増えてしまっています。

また木は炭素だけで成り立っているわけではないので、燃やす
と様々な酸化物質が生成します。

燃焼条件によっては、有害物質が発生することもあります。


わざわざ燃やす必要のない木を燃やすことはありませんよね。

それよりも、「木を燃やさずにドンドン増やすことで、石油
燃焼など他の要因によって増加している二酸化炭素を吸収する」
という発想が必要なのです。


さらに、木は生きている「いのち」です。

仮に温暖化の原因にならなかったとしても、むやみに燃やす
ことは避けたいものです。

人工林の育成と平行して、計画的に伐採した木を使った木造の
家や家具調度品を作るなどして、街中を炭素固定源にするなんて
ロマンがあると思いませんか。




◆エビの養殖



タイやマレーシアの河川の河口付近には、マングローブ林と
いう塩水でも生きていける樹木帯が広がっています。

ここではエビの養殖が行われており、特に日本へ大量に輸出
しています。

養殖を数年間続けると、海水中の栄養分がなくなり、やがて
エビが採れなくなります。

そのために、養殖場を広げなければならなくなります。

こうして、次から次にマングローブ林が伐採されていくこと
になるのです。




◆ダムの建設



ダムの建設も森林破壊の原因になっています。

ダムが建設されるのは、大きな保水能力がある森林地帯です。

ところが人間は、この自然のダムである森林地帯を切り崩し
水没させて、巨大な人工のダムをつくっています。

しかも、ダムの上流では建築材や紙をつくるために、大量の
森林が伐採されています。

このため上流で降った雨が、むき出しになった土砂を洗い
流してダムに流れ込みます。

やがてダムは大量の土砂で埋まり、使えなくなってしまうの
です。

また、もともと森林地帯であったダムの水には栄養分が多く
含まれているため、たちまち藻が異常繁殖したり、赤潮が発生
したりすることになります。




◆森林破壊の原因をつくっているのは日本?




日本が森林破壊の大きな原因となっているのは、残念ながら
事実です。


日本は、国土の約66%が森林です。

これは「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドの約70%に
次いでいます。

日本の森林地帯は、毎年国内の総消費量に相当する木材を生み
出しています。

ところが、実際に伐採されているのはそのうちの3分の1程度
にすぎません。

今では、80%以上を輸入に頼っている世界最大の木材輸入国
になりました。

日本は、「ある地域の森林を伐採し尽くすと、再生させること
を考えないで次の原生林を伐採する(伐り逃げ)」という方法
をとってきました。

この方法で、日本は1960年代はフィリピン、70年代は
インドネシアの森林を伐採し尽くしました。

近年はこの事実が明らかになってペースは落ちたものの、
マレーシアなどから大量に輸入してきました。

最近では、フィリピンやマレーシア、また中国でも森林伐採が
法的に禁止されたために、シベリアやカナダなどに伐採地を
求めています。

大量生産・大量廃棄の社会システムが根底にある限り、大量
森林伐採は止まることはありません。

企業は、消費者のニーズに従って行動します。

私たち消費者の意識変革が、森林破壊を食い止めるための
必須の条件なのです。
 



■私たちにできること



この森林破壊を食い止めて、なおかつ森林を再生するために
必要なことは何でしょうか?


森林破壊は、回復できないくらい悪化しています。

この原因は、日本など先進国の大量消費にあります。

このままでは森林は全滅して、地球の生命維持装置が破綻
しそうです。

やはり、特に日本の木材消費を減らさなければなりません。

そのためには、輸入木材の値段を大幅に上げることが必要
ではないでしょうか。

そうすると、国産材の方が安くなって林業も復活すると思い
ます。

国産材は高いのではなく、輸入材を安く買い叩いているだけ
です。

輸入材に、森林再生コストや生態系保護費(当然人件費も
大きくなります)を加算すると、今の価格になるはずがない
のです。



もともと日本には、すべての需要をまかなうだけの森林資源
があるのですから、本気で取り組めばうまくいくはずです。


ただし、ここで言う森林資源とは人工林のことで、原生林に
ついては伐採は禁止すべきです。



また、木材製品を貰わない、買わない、使わない、捨てない、
リサイクル使用するということも重要です。

具体的には、

「消費を減らして国内の需要は国産木材でまかなう」

「計画的に森林の植林を行って、成長量以上に伐採しない」

「原生林の伐採を禁止する」

などが必要でしょう。


個人レベルでは、「できるだけ割り箸を使わない」というのは
誰にでもできる方法です。

よく「割り箸は熱帯林を破壊している。いや不要な枝を使って
いる」などの議論が行われていますが、いずれも「割り箸は
使い捨て」という前提に立っているようです。

しかし、「割り箸は使い捨て」というのは思い込みで、実際は
「割り箸は何回でも使える」のです。

割り箸を「木という命から生まれたもの」と考えると、

「今まで生きていた命を1回で使い捨てするのはもったいない」
という発想が出てくるのではないでしょうか。


このほかにも、

「過剰包装を断る」

「買い物かごを持参する」

「紙コップなど使い捨てを減らす」

「高くても再生品、リサイクル品を買う」

「植林、間伐、草刈などの森林保全活動に参加する」

などたくさんあります。


一番大切なことは、自分にできそうなものを見つけて、実行
してみることです。


そして、「多くの人に事実を伝えること」も大切です。

自分の実践を周りに伝え、輪を広げましょう。

企業や行政には、

「原生林の輸入禁止」

「開発の制限」

「森林の保全と修復の義務」

などの規定をつくってもらいましょう。

多くの人が力を合わせて働きかければ、きっと実現すると思い
ます。



◆希望につながる変化のきざし



最近になって、多くの日本人がこれまでのことを反省して、

「世界の森林を守ろう!」

「砂漠や森林伐採地に植林しよう!」と、

中国やアフリカにボランティアで植林に出かけています。

かつて日本が伐採した荒れ地や砂漠地帯を緑化しようと、
大変な努力が始まりました。

最近各地から植林成功の知らせが届き始めており、嬉しい
限りです。

また国内では、「国産材の家に住もう!」という運動が
始まっています。

「少々高価でも、国産の木材を使うと熱帯林の破壊を止め
られるし、日本の林業の振興にもつながる」というわけです。

このように、希望につながる変化のきざしが現れてきました。


私たちは、自分自身が森林破壊の主役であることを自覚し、
これらの運動を応援することが必要ではないでしょうか。




■どうすれば「森林破壊」が解決するの?




森林破壊を解決するための具体例を、私の公式ホームページ
から抜粋してご紹介したいと思います。




◆エコ・リュックサックを意識しよう!




熱帯林では、同種の木は互いに距離を置いて生えています。

たとえば同じ種類の木を1千本確保するためには、300~
500ヘクタールも探し回らなければなりません。

この際、1本の木を伐採するために、運搬道の造成などで
多くの木が道連れになります。

このような、目に見えないところで発生している環境負荷を
「エコ・リュックサック(正しくは、エコロジカル・リュック
サック)」と呼んでいます。

木製の椅子に環境負荷という「目に見えない巨大なリュック
サック」が掛かっているというイメージです。


必要とする木だけを選択的に伐採し、そこに苗木を植林すれば
森はやがてもとの状態に戻ります。

しかし、多くの樹木を道連れにすると再生が困難になり、森林
地帯の生態系、保水能力、土壌、光合成の能力などが、私たち
の想像を超えて失われていくのです。

これから木製品を購入する際には、エコ・リュックサックを
意識して

「その製品がどこからきたのか」、

「環境配慮がどのようになされているのか」

などを選択基準にしていただきたいと思います。



木製品を選択する際の道しるべとして、FSC(森林管理協議
会)による「森林認証制度」があります。

森林認証制度は、きちんと管理されている森林を「認証」し、
その認証林から生産された木材やその木材でつくられる製品
FSCマーク をつけて幅広く流通させようという
制度です。

もう少し詳しく言うと、森林が「持続可能な森林経営」の基準
通りに管理されているかを、独立した第三者機関が評価・認証
する制度です。


ここで「持続可能な森林経営」とは、「現在だけでなく将来の
人々も森林を有効利用できるよう成長量に見合った量のみを
伐採し、土壌、水質、野生動物等の生態系への影響にも気を
つけて森林を管理すること」です。

2005年1月13日現在、FSC(森林管理協議会)の認証林
は61カ国、681件、約4800万ha)に及んでいます。


認証された「FSCマーク」製品を選択することで、森林を
破壊して生産された木材製品の使用を避け、世界中の森林の
保全に貢献するひとつの方法です。


ちなみに、人工林を保全する際に出てくる間伐材を使った製品
につけられる 間伐材マーク も普及しています。




◆日本の林業を復活させよう!




先日も書きましたが、より具体的な数値をあげてみましょう。

日本の国土の約66~67パーセントが森林で、これは
「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドの約70パーセント
に次いでいます。

また日本の森林蓄積量は約35億立方メートルあり、毎年
7千万立方メートルずつ蓄積量が増加しています。

しかし、実際に伐採されているのはそのうちの3分の1程度
にすぎません。


このように日本は十分な森林資源がありながら40年ほど前
から輸入を始め、現在では80パーセント以上を輸入に頼って
いる世界最大の木材輸入国になっています。

平成13年度の木材自給率は18.4%にまで落ち込んで
います(平成14年『森林・林業白書』)。


国産の木の価格は、50年間も育てたスギの木で1本2千円
くらいにしかなりません。

平成14年のスギ立木価格は昭和55年の24%で、昭和31年
の水準です。

この間、山で働く人の給料は逆に1.5倍くらいに増えており、
経営的にも林業が成り立たなくなっているのです。


日本の森林は急な斜面にあり、林業事業者ひとり当たりの森林
も小さいのが特徴です。

このため木を育てたり、伐り出したり費用がかさんでしまい
ます。

これでは価格の面で、平坦で広大な森林から大きな機械で木を
伐り出す外国に太刀打ちできません。


また、南洋材の価格には、木そのものの値段、森林再生コスト、
生態系の回復コスト、地域の自給自足を破壊したコスト、など
が含まれていません。

南洋材は巨大な「エコ・リュックサック」を背負っているの
です。

この意味で、南洋材は「安いのではなく、安くしすぎている」
と言えるのです。
 

このような状況の中で、日本の林業が成り立たなくなって
しまったのです。

当然のことながら、林業従事者の離職や高齢化が進み、林業
就業人口は1994年の11万人から2000年の6万7千人
にまで減少し、また65歳以上の割合は24.7%となって
います。

日本の林業を復活させると、自ずと海外からの木材の輸入が
減り、地球規模で起こっている森林破壊を減速させることが
できるのです。




◆日本の林業を復活させるために



1.輸入木材の価格を引き上げる



エコ・リュックサックを考慮しないのは、再生責任を果たして
いないということです。

南洋材が安いのは、「再生責任」を考慮することなしに価格が
設定されていたからですね。


商品の価格を決定する方法として、従来は

「販売価格=コスト+利益」

で表される「コストプラス法」が多く採用されています。


しかし、環境配慮の観点からいえば、

「販売価格=コスト+再生責任費用+利益」

でなければなりません。


南洋材にこれを適用するのです。

大量伐採すると1本当たりコストは下がりますが、同時に
全体の「エコ・リュックサック」が増えています。

当然のことながらその分「再生責任費用」が増大することに
なり、南洋材の価格は上昇します。


その結果、国産材の競争力が増し、南洋材の需要が減ること
になります。

また伐採しても「再生責任費用」を植林に充てることで、
森林の再生が進むことになるでしょう。
 



2.国産材を使った家に住む



法隆寺の例をあげるまでもなく、日本の木造建築の技術は
極めて高水準です。

最近、木造建築が見直され、木造住宅に住みたいという人が
増えてきています。

木材は、軽量の割には強度が大きい、加工しやすい、保湿性
や湿気の調節作用がある、断熱作用や遮音効果に優れている、
紫外線を吸収する、など優れた特長があります。

また心を癒すという心理的効果もあり、木造住宅にふさわしい
材料といえます。


さらに木材をつくる時に使うエネルギーは、鉄をつくる時の
80分の1、アルミニウムのわずか340分の1です。

鉄やアルミニウムのかわりに木材を使うと、二酸化炭素削減
したことになるのです。

木材は、二酸化炭素を吸収してできており、その中に二酸化
炭素を固定しています。

つまり、木材を燃やしたり腐らせてしまわない限り、二酸化
炭素が空気中にもどることはないのです。

「街に木造住宅を数多く建てれば、その街は森林と同じ働き
をしているということになる」と言われるゆえんです。


家を壊しても、使っていた木材はリサイクルできますし、最後
には石油のかわりにバイオマスエネルギーとして活用すること
ができます。


このように木造住宅は環境にやさしく、しかも国産材を使うと
林業の振興にもつながり、まさに一石二鳥です。

皆さんも家を建てる際、ぜひとも検討してみてください。
  



3.大都市の臨海部に大規模な森林をつくる



バブル崩壊以来、大都市の臨海部では工場の閉鎖や大規模
プロジェクトの縮小や廃止が相次ぎ、広大な遊休地が生まれ
ています。

この遊休地を大いに活かす方法として、大都市の臨海部に
大規模な森林地帯を造成するのです。

森林の育成と同時に、地下に完全クローズドシステム化された
工場を建設します。

この工場で使用する原料の調達は、すべて地上の森林からです。

計画的に間引き材、落葉などを回収し、アルコール(バイオ
マス資源)や化成品・医薬品・食品の原料として使用するの
です。


ここに集う企業(工場)群は、国連大学が提唱して話題に
なっている「ゼロエミッション構想」による連携を結ぶこと
が不可欠です。


ここで「ゼロエミッション」とは排出ゼロ(廃棄物を出さない)
という意味です。

簡単にいえば、「A社の出した廃棄物をB社の資材・原料と
して使い、B社の出した廃棄物がC社の資材・原料となり・・・・
という企業連携をとり、廃棄物を環境に放出しない生産
プロセス(システム)を構築すること」です。

工業だけでなく農林水産業などとも連携し、地域で廃棄物ゼロ
を目指す取り組みを「地域ゼロエミッション」といいます。


林業は山仕事というイメージがありますが、臨海部でも充分
成り立つはずです。

この「地域ゼロエミッション」は、街の活性化だけでなく、
多くの雇用を生み出す原動力となることでしょう。




4.山村に人を呼び戻す 



●山村に誇りを持とう




昨日書きましたように、林業従事者の離職や高齢化が進み、
林業就業人口が減少しています。

年間6000人が離職しているということです。

これ以上の離職や森林の荒廃をくい止めるために、魅力一杯
の山村づくりが各地で始まっています。


ここで大切なことは、山村は

「すでに魅力いっぱいの場所である」

ということを、自覚し、誇りを持つことです。


ありがたいことに、美しい自然に囲まれた地域から、環境問題
についての講演依頼を数多くいただきます。

「こんなに緑が多くて、美しい川が流れるところでも地球に
思いを寄せる人たちがいるなんて、嬉しいな」

と思うこの頃です。

地元の人は、「この美しい自然を未来の子供たちに残したい」
と異口同音におっしゃいます。

私としてもこの言葉を聞くたびに、地球環境の実態を正しく
伝える大切さを実感しています。


ところで、地元の人たちと話を進めるうちに、必ずと言って
いいほど「開発」という言葉が出てきます。

「美しい自然を残したいという思い」と「開発が遅れること
で周辺地域から取り残される不安」とが交錯しているのだ
そうです。

「周辺地域はリゾート開発によって人が集まり、どんどん
賑わいを増しているのに、この地域では人を集めるものが
何もないので、さびれるばかり。自然を残したいという意欲
も揺らいできます」。

これが代表的な声でしょう。


私は、「そうですか。多くの人が集まると活気が出てきます
からね」と受けとめる一方で次のような話をします。

「いくら立派な建物があったとしても、都会に住む私にとって
はいつも見慣れた光景で、珍しくも何ともありません。最近、
リゾート施設の経営が危うくなっていますが、こんなことが
ひとつの原因かもしれませんね。何もないことこそ、それだけ
で素晴らしい価値があります。自然がそのまま残っていると
いうことですからね」と。

つまり、これからは「何もない」ということが大きな魅力の
ひとつになるのです。

実は、何もないように見えて、「人が生きていくために必要
なものは全てある」のですけどね。




●自然の残してくれた大プロジェクト



さて、もし東京や大阪に1000メートル級の山並み、美しい
水の流れる渓流、珊瑚礁が輝くマリンブルーの海などを造る
としたらどれほどのお金がかかるでしょうか。

おそらく数兆円以上、というよりも実現不可能でしょう。

こう考えると、何もないように見えて、実は

「大自然が巨大プロジェクトを遙か昔に完了してくれていた」

ということが分かります。

私たちは、いまさら「開発」に頼らなくても、自然の残して
くれた大プロジェクトを思う存分活用すればよいのです。


ちなみに、『開発』は本来仏教用語で「かいほつ」と読むそう
です。

本来は、

「如来を信じる心が起こること」

「真実の智慧が起こること」

などを表す言葉ですが、意味を広げて

「その土地やその人の特長を活かしきる」

という意味で使われていたそうです。


現在使われている「開発」は本当は「乱開発」と呼ばれる
べきもので、「乱開発」によって、土地が根こそぎにされて
いることは衆知の通りです。

私たちは、その地方特有の自然を活かした本当の意味での
「開発」と、自然を根こそぎはぎ取り、巨大な建造物に
とって変わらせる「乱開発」とを混同しているように思い
ます。


私は都会に住んでいますが、

「以前は自分たちの都合でリゾート開発を推し進め、今さら
自然を守れと言うのは虫がよすぎるのではないか」
と思うようになりました。

実は、これも地方に行けば必ず聞こえる本音です。

いったん、破壊された自然は、元通りに復元することは
ほとんど不可能なのです。

しかし、

「あきらめずに可能な限り自然を復元すること」

そして

「残された自然を大切にすること」

は、未来に向けての私たちの責任ではないでしょうか。



これからは、何も手を加えられていない素晴らしさを求める
人が増えてくるでしょう。

彼ら・彼女らは、自然を愛し、美しい自然を未来に残そうと
する人たちです。

多くのリゾート地のようにゴミのポイ捨てに悩む心配もない
でしょう。

「開発が遅れていてよかった」と喜び、「何もないこと」に
感謝できる時代がすぐそこに来ています。


私たち人間もすべての飾りをはずすことで、「自然のままの
魅力」を発見できるかも知れませんね。


地元の人々が、山村の魅力を自覚して誇りを持つと、子供たち
が未来に希望を持ちます。

そして、若者が帰ってきます(Uターン)。

都会の人たちを引きつけます。

定住者も増えるでしょう(Iターン)。

自ずと、林業も活気を帯びてくるのではないでしょうか。



ところで、ここまでの話は余りにも脳天気ですか。

でも、すでにこの動きが始まっています。


たとえば全国森林組合連合会は、林業への就業相談会

「森林(もり)の仕事ガイダンス」

を開催しています。

都市部からのUターンのほかIターン希望者からの相談も広く
受け付けています。

2003年度の新規就業者は約2200人に上り、このうち
9割がサラリーマンなどからの転職者(失業者を含む)と
なっているそうです。




◆森に行こう!



最近、とくに都会では、人と人、人と自然などの「つながり」が
切れ、いじめ・犯罪・差別などが大きな問題になっています。

地球環境問題も「つながりが切れていること」が大きな原因だと
思います。

この切れてしまっている「つながり」を修復することで、地球
環境問題だけでなく、多くの社会問題が解決に向かうのでは
ないでしょうか。


つながりを修復するには、「思いやりの心」を育てることです。

そして、「思いやりの心」を育てるには、自然に触れるのが一番
だと思います。


山奥の森林や渓流の中で「自然の景色や音」と戯れると、心から
の安らぎが得られ、「思いやりの心」が甦ってきます。

また時には、突然の雷雨や暴風、逆巻く激流、猛獣の雄叫びに
震えながら自然に畏怖するのも、「思いやりの心」を体感する
ことになるでしょう。


年に何回かは、このような体験をしたいものですね。


うれしいことに、地方だけでなく都会に住む人も「一緒になって
自然を大切にし、破壊されたところを復元しよう」という動きが
活発になってきました。

その一例として、エコツアーや植林ツアーが数多く実施されて
います。

皆さんも、一度参加してみてはいかがでしょうか。


とは言うものの、都会に住んでいる私たちは、しょっちゅう山村
に出かけるというわけにはいきません。

でも街をよく観察すると、里山・鎮守の森・公園・学校などに、
森とは言えないまでも案外多くの木々と生態系が育っていて、
そこに数多くの「いのち」を見つけることができます。


生命を思いやるということは、「いのち」に氣づくということ。

生きとし生けるもののわずかな動きや、かすかなささやきに
氣づくこと。

地球の声に耳を傾けること。

これが「真のやさしさ」、「本当の思いやり」というものでは
ないでしょうか。




「森林が消えていく」は、ここまでです。


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